「京都御所ゆかりの至宝」を愉しむ


 先日から京都国立博物館において『特別展覧会 御即位二十年記念 京都御所ゆかりの至宝』と題した特別展が開かれている。この展覧会に併せて、1月31日に京都新聞文化ホールにおいて、特別講演が行われた。(財)冷泉家時雨亭文庫理事長・冷泉家二十五代当主であられる冷泉為人先生による『雅の宮廷文化ー金碧の障壁画をめぐってー』と題された講演である。ちなみに先生は同志社女子大学客員教授でもいらっしゃる。

 講演では、最初にこの展覧会が天皇陛下が御即位されて二十年であり、非常に慶ばしい年である事を言祝ぎ、行われるという事の意味の深さが話された。講演の内容としては、日本文化の根源とした宮中にあり、それを平安京遷都以来一二〇〇年の間に歴代天皇たちがみずから芸術・行事を行う事で文化が深まってきたという話。そして、冷泉家が歌道を家業として継承され皇室との関わりの話、天皇が落飾されることで皇室とのゆかりが深かった南禅寺仁和寺には御所に由来する品が多い点などの話が行われた。また、これらの御所の調度の特徴として、「公的」「表向」の部屋(つまりは「ハレ」の時に使われる部屋)には中国的な絵画である「漢画」が配され、「私的」「内向」の部屋(つまりは「ケ」の時に使われる部屋)には日本的な絵画である「やまと絵(四季絵など)」を配しているという点にも話は行われた。

 また、この講演の復習を、と思い、昨日京都国立博物館へと同特別展を拝見に伺った。特に冷泉先生が御講演で話されていた通り、2月1日を持って、一部の展示物の入れ替えが行われるため、是非とも見ておきたいものが拝見できたのは個人的にも良き日であったと思う。特別展覧会の内容は下記HPにて紹介されているので、そちらを参照される事が望ましいし、実際にご覧になられる事がよろしいのではないかと思う。時間に余裕のある方は是非とも見ていただきたいと思う。特に陛下の御物(コレクション)も数多く展示されており、個人的には霊元天皇宸翰和歌袱紗には、興味深かった。というのは、表面の絵の美しさもさることながら、霊元天皇が袱紗に直接筆を入れられた技術の高さが感じられた。