夏越大祓


 毎年、神社では六月の末と十二月の末にそれぞれ大祓という神事を執り行います。これはひとびとの知らず知らずの内に身に付いてしまった罪穢れを祓い清めるというものです。故事に則り、それぞれの神社では大きな茅の輪を作り、その輪の中を御歌を唱えながら、作法に則って左・右・左と8の字を描くように三度くぐることになっています。

 神事では、まず大祓詞(通常の神社では、毎朝夕に奏されている祝詞です)を参詣者と共に神前にて奏上し、各人が自己祓(自分でお祓いをする作法です。1cm角に切られた和紙と刻まれた麻を作法に則り、身に振りかけます。)を行います。その後、宮司さんは大幣(榊に紙垂をつけたお祓いのための祭具)で斎員や参詣者を重ねてお祓い致します。更に宮司さんは神前に用意された布を手で数度裂き、大幣と共に唐櫃に納めます。

 そしていよいよ茅の輪をくぐります。この時に御歌が唱えられます。

水無月の 夏越の祓いをするひとは 千歳の命伸ぶといふなり
思ふ事 みな尽きぬとて 麻の葉を 切りに切りてぞ 祓えつるかな
蘇民将来 蘇民将来

 この歌を参詣者で唱えながら、茅の輪をくぐる事で夏の訪れを迎えるのであります。昔のひとびとは医療技術も高度ではありませんから、罪穢れを祓い、長寿を願ったことでしょう。現在でも老若男女参加している様子に京都らしさを感じました。

 そして、夏越大祓と言えば、京都では「みな月」という和菓子が欠かせません。神社によっては、夏越神事の後、この菓子を撤饌として配られる所もあります。しかしながら、六月に入ると京都の和菓子屋の店頭では、「みなづき有ります」という張り紙を目にするようになります。ある意味、これが梅雨の目印でもあるのです。

 家では毎年、私が買っています。恒例なので。今年も幾度となく買いましたが、撮るのを忘れていたので、今日買ってきました。ちなみに「みな月」は氷室の氷を象ったと言われており、暑気払いとして食されてきました。そして、上に載せられている小豆は悪魔払いの意味を持っていると言われています。

 そして、水無月を終えるといよいよ京都は祇園祭が始まります。