文化財を保護する視点

ここ近年の京都では、"観光資源を如何に有効に活用していくか"という点に政策の重きに置かれてきました。特別公開やイベントなどが多く行われていることは知られているところだと思います。京都の文化財を観光資源として活用することに私自身も異論はありません。

しかし、保護する視点が少し疎かになりつつあるように感じます。文化財を保護していく為には傷つけられたり、荒らされたりしないような「危険予測」(リスク管理)を事前対策として行わなければなりません。ここしばらく、この件については私自身は憂慮している部分がありました。先日、とある文化財の建築物の窓ガラスが、観光客によって故意ではないのですが、割れてしまったそうです。文化財に用いられている割れた窓ガラスは、いわゆる『手刷りガラス』といわれるもので、古くは日本で手作りされていた窓ガラスでした。現在では、日本で作れるところは無いようで、ドイツの一社のみが製造をしているとの事です。これがとても費用が掛かるのだそうです。

公開している寺社建築物は、このようなリスクを背負い、危険予測を行っているのでしょうか?ちょっと有効活用が先行しすぎて、このような事態が今後も起こらないわけではありませんから、資源の活用と並行して保護する視点をもう少し見直していく必要があるのではないかなァと思います。