空間・リズム・リピート
この記事では、9月19日(土)に中之島バンクスで開催されました"DESIGNEAST 00"の二日目 TALK02『スウェディッシュデザイン』での講演における私のmemoを掲載します。講演者はCLAESSON KOIVISTO RUNEのDesignerであるOla Runeさんです。
●スウェディシュデザイン
■レクサスが家具の展示会へ出品(5,6年前より)
→デザイン指向の車との認識が付けられた。
■日本はレクサスだけでなく、テキスタイルも出店している
- ”SENSEWARE”(TOKYO FIBER 09 SENSEWARE)
- 「ナノフロント」テイジン × パナソニックデザインカンパニー
Pic. ロンドンのパビリオン(公園)
→軽量の概念のデザイン/自然を作ってゆく、使ってゆく
■日本では深沢直人氏が有名
- センシブル"sensible"(合理的・日本的)←機能だけでない美しさ
■マーファ(ドナルド・ジャッドのアートタウン)
- テーマ:空間・リズム・リピート
- 遠近法を用いた建物→実際より長く見せる廊下(壁の高さ、ドアの大きさ)。
【錯覚でより長く大きく見せる。】
スタジオ(Stiller Studios)*2
外壁コンクリートに鉄の粉を混ぜて、錆びさせる手法。
- スウェーデンはシンプルな素材をよく使う.
- ex)chair→ひとつひとつに形に違いはあるが、同じ商品。
■大量生産でありながら、ひとつひとつに個性を出していく
ex)'BRUSH RUSH' 2004.(Franc-franc)→toothbrush*3
ブラシをフックと同色にする事で個性を出す。
(日本)細かい所まで組織が出ている。
ex)E&Y『DODO』座椅子(インスピレーションを受けた作品)
◆Ola Rune氏の作品
●"PARUPU"(子供用の椅子)*4
- プロデューサーはいない→材料から使い方を考えて行く。
- コンセプトには"トトロ"をモチープに。(子供に気に入ってもらいたい)
- 軽いもの/愛されるもの
- 材料:牛乳パックのようなもの→"PARUPU"の由来
- 子供のうちは長持ちするものを
- 使い終わると庭に埋めることができる(環境に配慮)
- ミラノサーロネには大人より大きな"PARUPU"を出展
(子供の頃の気持ちに戻る意味や楽しさを込めて)
●"NEO"(鍋)*5
- 新しい調理鍋の模索
- 手をどのような形で使っているのだろうか。
☆他の器具は取っ手が下を向いている。(鍋は違う)
→鍋にも取っ手を下向けにしてみる(熱くならないか、実権もした。)
- 外はまっすぐ、内側は局面に。
☆機能的で個性的に。
●"EVE"(ブレスレット)*6
- クライアントは「Gallery Pascale(Pascale Cottard-Olsson)」
- 手首の大きさを研究し、素材をアルミとし、サッシのお店に。
- サイズは決まっていない、カットによって変えられる。
イタリアの絵画"神と人間"→"EVE"
●”SFERA Building”(商業ビル)*7
- 立地:"祇園"/周辺には古い家が建ち並ぶ
- 竹のすだれの機能{日よけ/プライバシー保護}⇒インスピレーション
- 木漏れ陽の映り方を研究(影や模様)『桜の葉を使用』
- 外壁はアルミ→強度不足→チタンに。
- 陽の射し方で表情が変わる。夜は建物全体が透けて見える。
- 「せせらぎすへら」には西洋風と和風の両テーブル。
- 両テーブルの高さを同じにして、視点が同じになるように工夫。
- 針金でひとを作って、モックアップを作ってみる。
●"SFERA Chair"(椅子)*8
- デザインが難しかった⇒SFERA個性のデザイン
- 建物の外壁のモノを使い、椅子に組めるようにレーザーカッターで切る。
- 打ち抜きも行い、角の部分も取る(怪我をしないように)
- 外壁と同様にシルエットにも、紋様が浮かび上がる。
- ティービスケットや干菓子もデザインした。
☆デザイナーになるために
- 好奇心:他の方法を常に模索すること
- 自身を評価・批判すること:チームも批判的である事で良いものが生まれる。*9
- 情熱:デザインに対する情熱をいつも持っていて欲しい
【感想】
Ola氏の発想と着眼点は、常に目の前にあるものに対して、観察・研究すること。そして、色々と要素を足したり、その土地における文化から受けるインスピレーションをアイデアに落とし込まむということをしており、この部分はデザインに取り組む上でとても大切な事だと感じました。デザインにおいて、新たな考えを含ませるのも単に全く違ったものを突如と入れるのではなく、要素として、より良く見せる工夫であったり、素材の形状、方法に沿った形でその中に落とし込んでいくという考えは、なるほどなぁと思います。そして、常にデザインする事に対する渇望し、その欲を求めて、常に注意深く観察している姿勢は、どの分野においても通じる姿勢ではないかと感じながら、拝聴していました。
また、最後のまとめにある「デザイナーになるために」は、現在実際に様々なデザインに取り組んでいるひとびとだけでなく、あらゆる分野での基本に立ち返らせてくれる言葉だと思います。このことを、忘れてはいけないなと改めて心に深く刻まれたセッションでした。
(本セッションでは、質疑応答が行われましたが、その部分は掲載していません。ご了承ください。)