今の條々・工夫は...

 かやうに申せばとて、初心の人、それほどは何とて左右なく極むべきと、退屈の儀はあるべからず。この條々を心底に當てて、その理をちちと取りて、了簡をもて、我が分力に引き合はせて、工夫を致すべし。およそ、今の條々・工夫は、初心の人よりは、なほ、上手におきての故實・工夫なり。
-『風姿花伝世阿弥岩波文庫)奧儀讚歎云 より一部引用 -