興味のある風刺


 昨日、ノーベル経済学賞にP.Krugmanが選ばれました。クルーグマンというと日本の経済状況を「流動性の罠」に陥っていると分析し、「インフレターゲット論」などによる日本の景気安定化政策をコラムとして寄せていた経済学者です。この人が国際経済学を学んだ人にとっては『国際経済 理論と政策』(エコノミスト社)の本が教科書として使われていた為、知っている人は多いのではないかと思います。またこの本を翻訳していた一人に竹中平蔵氏が含まれているのも知る人ぞ知るなんですけど。

 クルーグマン自身は、非常に砕けた表現を好み、論文でも著書でもそうなんですけど、前置きが非常に長い印象を私自身は持っています。割と現政権に批判的な著書も多く、"The New York Times"でもコラムを担当していることで有名です。以前から経済学賞の受賞候補として経済学界の間では言われていたのですが、今回ようやく受賞したというのも、世界恐慌に匹敵するのでは?といわれた今回のアメリカ発の金融恐慌とタイミングが合う部分は、やや配慮したのかとも見受けられます。

 この受賞したクルーグマンのThe New York Timesのブログ"The markets"という記事を見つけて、これは面白いなと思ったのが、上の風刺画です。1987年に出版された"The Economist"で掲載されたものですが、こういう風刺した漫画を最近少し見なくなったなと自身も感じました。日本での風刺も最近目にする機会が少ない気がするのですが。この風刺画のように言葉の端をとらえて、売り買いにつながっていくというのはあながち嘘ではないような気もするのですけどね。

 こないだから本を少し読み直してみたいのを列挙していますが、クルーグマンの書物も何冊か奥で眠っているので、また読み直してみたくなりました。ひさびさに経済立地論国際経済学でも勉強しなおしてみようかなwでも、この人の論が好きだというわけではありません。むむむ?と思える部分も数多くあるからです。読み物の内容としては面白いですけどね。

*追記(20081016)

 受賞理由は「貿易の形態と経済活動の配置に関する分析の功績を称えて」です。ということから、分かるように国際貿易に関する理論と経済地理学(空間経済学)に関する分析の研究功績が受賞理由であり、「日本の経済分析や流動性のわな」のことが受賞理由でもなんでもありません。但し、彼の著書はどうもくだけた表現とかに目を取られがちですがw