伝統工芸の技巧

先日、「伝統産業の日」というイベントがあり、14〜16日まで京都の伝統工芸に関するイベントが行われた。私は個人的に印章に興味を持っていたので、『京印章』の体験講座に応募して、参加してみた。


最初はまず篆刻書体の文字を書くところから始める。ある程度、バランスが分かるように枠が書かれている紙が良いようだ。そして、トレシングペーパーに書いてみる。なるべく中心を空けない様に書いて、それを裏返して、その文字を石に写していく。これがまた意外と難しい。教えて頂いている先生にも何度か助けられ、補正していただいて、何とか裏返した状態の文字を写す事が出来た。

でも、ここから大変だ。彫刻等のようなもので、刻み込んでいくのである。よく線を引くように彫っていくように思われているが、全然違う。少しずつ削りこんでいくように刻んでいく。これもなかなか綺麗にいかなくて、不安にかられていたが、それが味となるといわれた時、あぁ、これが作品の味となり、面白みなんだろうなと思えると、勢いよく刻み込んでいけた。

もちろん商品にはならないが、京印章はある意味、芸術の領域を持った懐の深さがある伝統工芸だなと感じた。京都の伝統文化には、厳しいところもあるが、懐の深さと想像の無限大のものづくりの価値が感じられる。そのような伝統工芸が身近にあるのは、とても恵まれた環境にある様に感じられる。少しずつ伝統工芸と現代の新たなコラボが生まれつつある。そんな中に飛び込んで何か生み出す事が出来たらと感じる今日この頃である。